【取材レポート】「こんな学童保育が、子どもの思考力・判断力・表現力を塾以上に伸ばすかもしれない」と予感@せかんどほーむ

 「うちの子も、こんな学童保育だったら行くのを嫌がらなかっただろうし、もしかしたらコミュニケーション力も伸びたかもしれないなあ」
 「私も、会社員をやめるという選択をしなくて済んだかもしれないなあ」
せかんどほーむ代表 渡邉 裕美さん
「せかんどほーむ」代表の渡邉 裕美(ゆみ)さんの取材を終え、雨が降る中、新行徳橋を自転車で渡りながら、ふと、そんなことを考えていました(もちろん、傘さし運転ではなく合羽着用です)

 せかんどほーむは、民間の学童保育。東京メトロ東西線妙典駅から徒歩6分の場所にあります。


子どもが行きたくなる
学童保育を目指した

利便性以上に魅力を感じたのは、利用者目線で学童保育の運営が行われていること。
渡邉さん自身が働くお母さんで、学童保育を利用していたのです。

「学童保育に行きたがらないお子さんは、少なくないんですよね。
小学1年生から6年生まで、1つの部屋で過ごすじゃないですか? そこに無理があるんですよね。

まだ幼い1年生は1日保育でお昼寝が必要かもしれませんが、3年生を過ぎれば眠くもないし、エネルギーを持て余しています。それなのに、薄暗い部屋で静かにしていなければならないんです。これは子どもにとって苦痛ですよね」

元々住居スペースを居抜きしたせかんどほーむには、複数の部屋があります。ですから「子どもたち全員が一斉に同じことをしなければならない」という状態にはなりません。

「もちろん、宿題を済ませるなど最低限のルールはありますが、基本的には子どもの自主性に任せています」

子どもが行きたくなる学童保育。
これが、せかんどほーむの方針の一つなのだそうです。

子どもの交友関係を
広げる学童保育

また、子どもの人数に対して指導員の人数が多いのも特徴。その分、指導員が余裕をもって子どもたちに接することができるようです。

過去の記事に書きましたが、ヒステリックな声を上げながら、子どもの足を引っ張り回している学童保育の指導員を目撃したことがあります。
これは個人的な資質も関係するのでしょうが、指導員に余裕がないこと、そして、やりたくないことを押し付けられて子どものストレスがたまっていることも関係しているのではないでしょうか。

〇ワークシェアリングと学童保育シェアリングの両立
https://life-livelihood.blogspot.com/2018/12/blog-post_18.html

私の場合は、結果として、学童保育をやめさせました。
すると、子どもは同学年の、仲の良い友達としか遊ばなくなってしまいました。「周りのみんながやっているから……」という理由で、ゲームばかり。

仲が良いのは誠にけっこうな話ですが、いつも決まった相手だけと付き合っているとコミュニケーション力、つまり思考力・判断力・表現力は育たないかなあと心配していました。

双方向のコミュニケーションが
思考力・判断力・表現力を伸ばす

皆さんもすでにご存じでしょうが、2020年度に日本の教育は大きな転換期を迎えます。
ITの発達などで社会が急速に変化し、社会人として求められる能力も変化しました。
さまざまなことを記憶するのは人工知能(AI)に任せておけばいいから、人間は人間にしかできない「考える力」を伸ばそうということでしょうか。

その「考える力」も、周囲の人に発想を理解してもらえなければ、単なる自己満足。間違った方向に行けば、変人。
他人にわかってもらうように、どんなタイミングで、どんな言葉で説明するのかを習得する必要もあるでしょう。これらはコミュニケーション力。

いつも同じ相手としゃべっていても、コミュニケーション力は養われません。「なんとなく」で伝わる部分がかなりを占めるからです。
仲がいい夫婦が「あ・うん」で通じるのと同じ。

さまざまな年代の、さまざまな興味を持つ子ども同士が、理解し合うために話す機会が必要だと思うのです。

私が作文教室を開いていた頃、1冊の本の内容について、あーでもない、こーでもないと子どもたちが面白おかしく言い合っている姿を見て、「こうした機会をもっと増やせば、言葉の力が伸びるな」と感じていました。

学童保育ならば、学年も違う異質の子どもたちが自然とコミュニケーションを取り合います。
「せかんどほーむが近所にあったら、ウチの子も入れさせたのになあ……」とJR市川駅近辺に住む私は思ったのでした。
講師→子どもという一方向になりがちな塾よりも、子どもの力を伸ばすことにつながるはずです。

〇子どもを預かるのではなく「人間力」を育てられる場所を作るために起業したお母さん
https://life-livelihood.blogspot.com/2018/02/blog-post_2.html

共働きの家庭でも
平和な夜の時間が過ごせる

もう一つ、親側のメリットとして、20時まで預かってもらえて、夕食も入浴も対応してくれること。

「私もフルタイムで働いていたんですけど、19時までに迎えに行くのは大変だったんです。それに子どもも『おなかが空いた』『家まで我慢できない』と言うから、帰りにたい焼きを買って食べさせたりしていました」

職場から慌てて学童に行き、子どもをせかしながら家に連れて帰った後、夕食の準備。食べさせて、食器を片付けて、学校からの手紙などを確認して、おふろに入らせて……
ある意味「戦場」のような夜を、共働きの家庭では過ごしているのではないでしょうか。

それが、学童に迎えに行ったときには、子どもはご飯もおふろも済んでいるとなったら、「早くしなさい!」などと親が怒鳴り散らす必要もなくなります。

市が運営の学童保育「市川市放課後保育クラブ」よりも、民営の学童保育は利用料が高くなります。
しかし、学校や習い事、自宅などとの送迎も引き受けてもらえるし、休校や学級閉鎖のときも預けられます(市川市放課後保育クラブは対応していません)。

親がストレスなく働けて、「小1の壁」「小4の壁」でキャリアを中断させる必要はなく、子どもにとっても自由度が高い学童保育は、長い目で見ると、親子双方にメリットがありそうです。



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渡邉さんには「キャリア・シフト」をテーマに取材させていただきました。
大学を卒業してからフルタイムで働き続け、結婚、出産、2児の子育てを経験した渡邉さん。
夫が単身赴任したために、まさに「ワンオペ」で育児も家事もこなしていました。
ただ、近い将来、職場で時短勤務が使えなくなり、学童のお迎えに間に合わなくなることがわかっていました。

「仕事をやめる」という選択肢は、渡邉さんの頭にはまったくありませんでした。
転職するか、起業するか。
ひらめいたのは、渡邉さん自身が必要としている学童保育を実現させることだったのです。

ワンオペ育児の最中に事業を計画し、起業塾などにも通った渡邉さんの行動力には驚きます。
ちなみに、渡邉さんは市川市女性起業塾の1期生で、市川市レディースビジネスコンテスト2014最優秀賞を受賞しています。

こうして進めていった結果、学童保育事業を立ち上げるともに、元の会社にはパートとして勤務するという「二足のわらじ」的な働き方が実現しました。
職住近接で子どもとの時間も増えたそうで、見事なソフトランディングです。
こうした流れについては、改めて、インタビュー記事として紹介します。

せかんどほーむでは、学童事業のほかに学研教室、コミュニティ事業、こども食堂も行われています。
ハンドメイド作家さんの常設販売の場として、レンタルボックスを設置

フリーマーケットも開催されています

せかんどほーむに、無料配布中の『女性の体の知恵』を置かせていただきました(ご対応、ありがとうございます!)。

せかんどほーむ
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電話: 047-718-8847
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