「古代から17世紀まで、どうして錬金術に夢中になった人々がいたのか」 文系人間がまとめてみた その2 「自然は真空を嫌う」

  ※フリーランスの編集者・ライターである『クラナリ』編集人(バリバリの文系)は、腎臓に関する記事や書籍に携わる機会が多いため、それに関連していろいろと考察しています。素人考えですが。

「自然は真空を嫌う」
[由来] 紀元前四世紀のギリシャの哲学者、アリストテレスが、その著書「自然学」の中で述べた考え方から。たとえば、ポンプで水を吸い上げられるのは、ポンプが空気を抜いてできる真空を水が埋めようとするからだ、といった考え方です。

 真空には、次の2つの意味があります。

真空:「真空とは通常の大気圧より低い圧力の気体で満たされた空間の状態で、圧力そのものをいうものではない」日本工業規格(JIS)=負圧:標準的な大気圧(1気圧)より低い状態

真空の世界へようこそ|真空とはなに? 

絶対真空:空間中に分子が一つもない状態、空っぽ(概念)

知ってるようで知らない!?「真空」をわかりやすく解説 

 アリストテレス(紀元前384年~紀元前322年)の「自然は真空を嫌う」の「真空」は、空っぽの絶対真空を指していたようです。ちなみに、これはアリストテレス自身の言葉ではなく、後世の人々が彼の考えをそう表現したとのこと。

 古代ギリシアでは、レウキッポスとデモクリトス(デーモクリトス、紀元前460~紀元前370年)が「原子論」を提唱しました。「原子(アトム)」が動き回るためには「空虚(ケノン)」、つまり絶対真空が必要と考えました。目には見えないアトムの運動で、自然界のさまざまな現象は説明できると主張したのです。
 それに対して、アリストテレスは「自然は真空を嫌う」と述べて、原子論と絶対真空の存在を否定しました。物質は隙間(絶対真空)のない連続体でできていて、すべてが結びついていると考えたのです。

 アリストテレスの著書『形而上学』には、以下の用語が出てくるとのこと。

形質(エイドス):概念的な一種の設計図
質料(ヒュレー):素材、材料

第一質料(プリマ・マテリア):何の形相を持たない純粋な質料

第一質料+「冷・乾」→土
第一質料+「冷・湿」→水
第一質料+「熱・乾」→火
第一質料+「熱・湿」→空気

 土・水・火・空気という四原質(四元素)で物質は構成されていて、それぞれを第一質料に戻すと別の元素に変化できると考えたようです。

土-「冷・乾」→第一質料 第一質料+「冷・湿」→水 ということで、土→水 という構図でしょうか。




火、空気、水、土の4つを「単純物体」と呼び、ほかの物体はこれらで構成されていると考えた。しかし四元素を「いわゆる構成要素」と表現しており、最終的な構成要素ではないとしている。単純物体を構成する要素として、「熱・冷」「湿・乾」という二対の相反する性質を挙げ、これらの組み合わせによって成り立ちを説明した[12]。

アリストテレスの物質観においては、任意の物質にたいして「熱・冷」「湿・乾」といった原理的には単純な操作を行い、四元素の配合を金と同じに変化させることができれば、金を作りだすことができると考えられるため、錬金術との相性が良く[13]、「硫黄=水銀理論」(または、これに塩(えん)を加えた三原質説)と並ぶ錬金術の基礎理論となった。ヨーロッパの錬金術師たちは、錬金術と占星術を結び付け、四元素と黄道十二宮は対応関係にあり、4つの基本性質、季節も黄道十二宮の支配を受けると考えた[4]。


□参考文献
『錬金術の歴史』著/井上英洋 創元社
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