人間の根っこの部分にアプローチする方法の一つが手相

悲観的で注意深い人類が
私たちの祖先

 人間の長い歴史を振り返ると、今の日本のように安全で便利な時期はほんのわずかです。

 今から600万年前から400万年前までの間に、人類は誕生したと言われています。古代文明が生まれたのは5000年ぐらい前のこと。産業革命が起こった200年ほど前から、世界人口は爆発的に増えました。人口が増えたのですから、人間が命を落とさずに済むような安全な時代になったのでしょう。

 そう考えると、人類の600万年という歴史の中で、安全に暮らせるようになったと考えられる期間は、たったの3%。つまり、人類はほとんどの時間を危険と隣り合わせで、厳しい自然環境の中で動物・細菌といった敵と戦いながら生活したのです。
 人類は当然用心深くなりますし、いつも最悪の事態を想定して行動してきたでしょう。逆を言えば、のほほんと楽観的な人間は早くに命を失い、悲観的で注意深い人間だけが生き延びられたわけです。

怒りなど悲観的な思考回路で
他人と争うのが人間の歴史

 人間のデフォルト(標準状態)が悲観的な思考回路で、そのままにしておけば現実を見ずに将来の不安にとらわれてしまいます。悲観的な思考回路で生まれる不安や心配、イライラ、怒りなどの感情で心を病み、他人と争って、挙句の果てに戦争を起こしてきたのが、人間の歴史なのでしょう。

 不安や心配、イライラ、怒りなどの感情は表面的な意識で、奥底では野生の動物たちと同じように「もっと生きたい」「子孫を残したい」という強い本能があるのではないでしょうか。本能とともに、自分が生きるため、そして弱い存在である子どもや孫を守るために他者と共存したいという、本質的な欲求があるのかもしれません。


根が腐ると木が枯れるように
潜在意識を無視しても健康になれない

 表面的な意識にある悲観的な思考回路をストップさせて、潜在的な意識に近づくという観点は、数多くの健康法や医療に取り入れられています。
 過去に私が取材した医師は、人間を木にたとえると、幹や枝葉が表面的な意識や心、体に当たり、根っこが潜在的な意識に当たると説明していました。根が腐れると、木は枯れます。根から養分が吸い込まれなければ、枝葉は茂りません。


 潜在的な意識にアプローチしなければならないという話から、亡くなった父親を私は思い出しました。肺がんを患っていても長時間ドライブできるほど活動的でしたが、抗がん剤治療で心を病んで自ら命を絶ちました。
 人間の根っこの部分にアプローチしなければ、活動的であっても、病院で治療を受けても、人間は生きていけないのではないか…… 医師を取材しながら、私はそう思いました。


 私の知り合いは、持病を克服したいからとさまざまな健康法に取り組んでいました。ある薬草がいいと聞けば薬草茶を飲み、「効く」という噂の水を取り寄せ、断食もしていました。また、明るく振る舞おうと努力していましたし、「ありがとう」などと前向きの言葉を積極的に使って、ヒーリングも受けていました。しかし、やっていることが空回りしている印象で、持病が改善している様子はありません。
 この知り合いの、なんとも不自然な姿から、不安やイライラ、怒りといった悲観的な思考回路を、これまた表面的なポジティブ思考で止めるのは難しいのではないかと思うようになりました。


手のひらには
隠れた問題が示されている

 言葉を使って、思考・分析することはもちろん大事です。ただ、それだけでは十分ではないようです。プラスして、人間の根っこの部分に当たる潜在的な意識にアプローチする健康法も取り入れる必要があるでしょう。
 こうした健康法の一つが、リフレクソロジー(反射療法)です。


 手足を刺激して体調を改善させるリフレクソロジーは、健康書や雑誌でよく紹介されてきました。手足には、自覚している不調だけでなく隠れた問題も現れていると言われています。例えば、足の土踏まずをもんだときにジャリジャリしたしこりがあるときは、胃腸に問題があり、本人は平気と思っていても内臓にはダメージがたまっていると考えられています。

 私が25年にわたってさまざまな情報を扱ってきた経験で、手のひらからは短期的な不調、足の裏からは長期的に蓄積した不調がわかるととらえています。食べ過ぎや飲み過ぎが続くと手のひらの親指のつけ根の膨らみに青い血管が浮かび上がり(怒張)、それで胃腸や肝臓にダメージが与えられると足の土踏まずにしこりが現れるという関係です。

 手のひらで体調や潜在的な意識を知るには、手相が大きな手掛かりとなります。これは、ある鍼灸師から託された資料に書かれていました。
運勢は体調の影響を大きく受けます。生命線のカーブが大きいほど長命だと手相で言いますが、手のひらの親指のつけ根の膨らみは胃腸と対応していて、消化力が弱い人は短命になるわけです。


 ちなみに、感情線や頭脳線も循環器系・神経系と対応しているのだそうです。感情線が乱れていれば、占いだとほれっぽいとか束縛したがるなどと判定します。体の面では血圧に異常があり、精神的に不安定な状態と考えられるのです。

 手のひらで注目したほうがいいのは、もともとの線の長さや丘の豊かさよりも変化。細かいシワが増えて線がぼやけてきた、色がまだらっぽくなってきたなどは、自覚していない心身の変化の現れ。手のひらを見る習慣をつけることで、潜在的な問題にも気づける可能性があるのです。

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