イチカワチクチクカタカタワイワイ市 始まりの物語



 JR市川駅南口。普段は通勤や通学などで通り過ぎる人ばかりです。
 それが、こんなに大勢の人でにぎわうなんて!!

 今日は「イチカワチクチクカタカタワイワイ市 2019春」が開催されているのです。開始の朝10時の時点で、各ブースには人がいっぱい。「10時前から待っていらっしゃる方もいるんですよ」と、主催するいちかわ手づくり市実行委員会の方に教えてもらいました。

 イチカワチクチクカタカタワイワイ市のブースには、「手づくり」をキーワードに、雑貨、服、食(ただし商品の持ち帰りで、会場での飲食はなし)などさまざまな作品が並んでいました。

 
 市川市内外から人を集めるイチカワチクチクカタカタワイワイ市。いったい、どんなルーツがあるのでしょうか?

 ミスターフォトジェニック(と『クラナリ』で勝手に呼んでいる)の湊誠也さんにお尋ねしたところ、「マティエールさんに聞いてみては?」とアドバイスをいただきました。
いつも頼りにしています。ありがとうございます!

 そこで本日、出店していたマティエールの方々にイチカワチクチクカタカタワイワイ市にお話をお聞きしました。なお、マティエールの正式名称は「手作り雑貨のお店 Matiere(まてぃえーる)」ですが、今回はマティエールと表記させていただきます。


お手紙こけし。これが郵便受けに入っていたら、腰を抜かしそうです。郵便料金はおそらく120円(定形外郵便物の最小サイズで50g以内)



こちらは保冷剤ケース

 マティエールはJR下総中山駅のすぐ近くにあり、ハンドメイド雑貨の委託販売を行っています。

 現在は2名での運営ですが、10年ほど前はスタッフがもう1名いたとのこと。それが、いちかわ手づくり市実行委員会代表の宮川はるみさんだったのです。

 「20年ほど前から、『カントリーマーケット』などの名前で、ハンドメイド作品の市は各地で開催されていました。ただ、市川市内では行われていませんでした。それに、商業施設の催事場で行われることが多かったので、現在とはちょっと印象が違うかもしれませんね」

 ハンドメイドの世界では、以前は「作品を買いたい人」が多かったようですが、次第に「自分の作品を売りたい人」が増えてきたそうです。
 その流れの中、屋外で「〇〇マルシェ」「〇〇マーケット」といった名称で、手づくり市が全国各地で開かれるようになったのです。
 
 「私たちの場合は、自分たちの作品だけでなく、多くの作家さんの作品を集めて、アパートの1室で販売するようになりました。これがマティエールの始まりです。
 オープンした頃は、チラシのポスティングなども自分たちで行っていましたね」
 さまざまな作品が並ぶマティエールは、「こじんまりとしたハンドメイド市」のようなお店といえそうです。

 その後、市川市内でのイベントにマティエールが参加した際、宮川さんが「スタンプラリーをやったらどうかしら」と提案したのだそうです。
 こうしたアイデアと手腕が認められるとともに、「市川市で手づくり市を今後も実行していこう」という仲間が集まったことから、宮川さんを中心として、いちかわ手づくり市実行委員会が生まれたとのことでした。

 JR本八幡駅やJR下総中山駅の近くで「マルシェ」として開催されていた手づくり市の波がJR市川駅にも及んで、イチカワチクチクカタカタワイワイ市が始まったのでしょうか。
 およそ10年前、JR市川駅南口の再開発が進んでI-linkタウンが竣工したのですが、正直なところ、閑散とした印象でした。街づくりの一環として、手づくり市が招かれたのかもしれません。

 マティエールは店舗での委託販売のほかに、イチカワチクチクカタカタワイワイ市などへのイベント出店も続けてきたのだそうです。
 「お店では、市川市内だけでなく、全国各地の作家さんの作品を扱っています」
 10年という歴史に、重みを感じます。

 イチカワチクチクカタカタワイワイ市には、「アランチャ・ドレッシング」も出店していたのですが、午後には店頭の商品がかなり少なくなっていたため、撮影は控えました。
 アランチャ・ドレッシングのサイトに、どのようなプロセスを経て商品が開発されたのかが紹介されています。詳しくはそちらを読んでもらうとして、ママ友が集まって製造・販売が行われている点も特徴の一つ。
 「最初はどこかを借りようと思ったんですけど、家賃が高いでしょ? ですから、自宅のガレージにプレハブを建てたんです。近所の駐車場を借りて、車はそこに。そのほうが安く済みますよね」
 アランチャ・ドレッシング代表の田中和子さんが、ニッコリ笑顔で教えてくれました。
 市川で暮らしと生業をつくる『クラナリ』のテーマともピッタリ合うので、近々、正式に取材をさせていただいて、記事を作成する予定です。

■アランチャ・ドレッシング
http://www.arancia-dressing.com/

 今回の出店者には、市川市外の方もけっこう含まれているのだそうです。
 その一人が、あきのかなこさん。お住まいは練馬です。
 「3~4年前から出店の応募をしてきて、今回、初めて出店することができたんです」
 うれしそうに話してくれました。




 作品はポストカードやシール、マグネットなどの紙雑貨です。原画を色鉛筆で描いて、ご自宅のインクジェットプリンターを使って用紙に出力。シールについてはイラストの周囲をデザインカッターで切り取って、作品として販売しているとのこと。作画から梱包まで、すべて独力でやっているそうなのです。
 「このような場所に出店すると、とても勉強になるんです。皆さんの作品が素晴らしくて……」
 お話を聞いていたら、小学生の女子たちがわらわらとやって来て、シールなどを真剣に選んでいました。『クラナリ』編集部員が「色鉛筆で描いているんだよ。すごいよね」と声をかけると、「知ってる」との返事が。失礼しました!
商品を入れる袋には、手描きのイラストも!


 イチカワチクチクカタカタワイワイ市は、作品を売り買いするだけでなく、作家同士が交流したり、互いに刺激を与えたりする場でもあるのかもしれません。


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 アトリエ*ローゼンホルツでは、来月、「あきのかなこ展」が企画されているそうです。詳細がわかり次第、『クラナリ』でもお伝えします。

■古本屋カフェ アトリエ*ローゼンホルツ
http://blog.livedoor.jp/licht1989-atelier/
 
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