【実践! キャリア・シフト】拡大・成長を目指さない新しい働き方

IT(情報技術)とAI(人工知能)の発達。
急速な少子高齢化。
終身雇用・年金制度の破綻。

 日本ではとっくの昔に、成長社会から成熟社会に移行し始めています。

 外国に追いつけ、追い越せという成長社会では、正解はすでにわかっていました。
 「アメリカではこれで成功している」「ヨーロッパではこれが流行中」というようにお手本があったから、「これ」をもっと安く、もっとたくさん作ったり、技術を磨いてさらに洗練させたりすればよかったわけです。

 ところが、今や日本は外国をとっくに追い越したと、経済学者の水野和夫氏は語っています。



 実際、平均寿命は欧米より長く、超低金利時代に突入しています。「アベノミクスなんて言っていたけど、これから経済成長するなんてピンと来ないな」というのが、私たち一般庶民の皮膚感覚ではないでしょうか。

 何が正しいのかがわからないのならば、何を答えとするのでしょうか。

 「自分でよく考えて導き出す」とともに「みんなで話し合って決める」方向に行く可能性が非常に高いと、水野氏をはじめ多くの識者たちは考えています。
 杉並区和田中学校の校長を務めていた藤原和博氏の「納得解」は、非常にわかりやすい表現です。


 絶対的な正解とは違って、複数の答えが存在するわけで、仕事人生でも「教育→仕事(出世)→引退」という3段階だけでなく、「教育→仕事→教育→引退→仕事……」などとさまざまなモデルが現れてくると予測されています。
 これは大ベストセラーとなった『ライフ・シフト』(リンダ・グラットン)に書かれていました。



 こうしたことは、本の中の話だけではありません。
 私が市川市で出会った中でも、キャリアをシフトさせ、多様な働き方・暮らし方を実践している人が多数いました。

 例えば「こまぱく」の山元環樹さん。
 出世競争から外れることで単身赴任を解除してもらい、家族との暮らしを大切にしています。
 そしてライフワークとして狛犬を研究。たった一人で「こまぱく」というローカルフェスまで開催してしまいました。
 

 また、湊誠也さんも会社員生活の後、輸入雑貨・衣料品店の手伝いでアメリカを渡り歩き、今の仕事を始めました。
 自転車店を経営しながらローカルフェスやイベントなどに携わるという、なんとも自由でマルチな働き方です。


 そして、「せかんどほーむ」代表の渡邉 裕美(ゆみ)さん。
 将来訪れる転機を見据え、会社員として働きながら助走し始め、学童保育事業を立ち上げています。


 会社員を続けながら社外にもやりがい・ライフワークを見つけ、人生を充実させるという答え。
 終身雇用などにも、肩書きにもとらわれず、人脈とスキルで自分のアイデアを実現させるという答え。
 ライフイベントに合わせて、しなやかにキャリアを変えていくという答え。

 まさに「納得解」ではないかと思うのです。

 『クラナリ』では【実践! キャリア・シフト】特集を予定しています。
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