豊かさを実現した人たちの共通点:最初に自身の魅力を高めて、商品価値を引き上げる

美容家が化粧品をプロデュースしているケースは少なくありません。
こうした美容家を取材するときに気をつけるのは、自社商品を紹介させないこと。
記事に「私はこの商品を売りたいがために、取材を受けました」という雰囲気があると、読者は「広告なのかしら」とウンザリして読まないのです。

読者が読みたくない内容をわざわざ記事にする価値はありません。
そのため、私たちは取材を申し込むときに「今回は美容法という手法の取材で、化粧品という商品の取材ではありませんから」と伝えるケースがあります。
すると、広報担当者から「えっ? でも……」とやはり商品紹介を押し込まれ、どの程度の内容で、どんな形にするのか、細々と話し合います。
記事ができてからモメると時間の余裕がなく、双方の感情もこじれやすいため、事前の打ち合わせは重要なのです。

あるとき、例のごとく「美容法の取材で、化粧品の取材ではありませんから」と広報担当者に伝えると、「わかりました」とあっさりとした返事。
私もつい「あれっ? 変わりましたね」と言ってしまったところ、「そのほうが売り上げが伸びるとわかったんですよね」と広報担当者。

この広報担当者がいる化粧品会社の社長は、「合成界面活性剤を一切使用しないスキンケア」を徹底する美容家。
クレンジングにはオリーブオイルを使い、シワ予防のため首にタオルを巻いてマスク・アイマスクを着用して寝るというこだわりぶり。
こうした話だけだと商品紹介が入る余地がまったくないのです。

「昔は、なんとかして商品名を出してくれとメディアに頼んでいたんですよ。でも、社長が『それをやめてみよう』と。自分だけを前面に押し出すようにしたんですね」

美容家自身の肌の美しさと美容知識だけを武器に、メディアに露出するようにしました。
その結果、視聴者や読者が「あの人、きれい!」「どんな人?」と興味を持って自ら検索。
美容家が開発した化粧品の存在を初めて知って、進んで購入するようになったのです。

押し付けがましくならないこと。
自らの魅力を高めること(美容家の場合は、いっそう美しい肌になること)。
専門知識を蓄える努力を惜しまず、手法を洗練させていくこと(マンネリにならずにメディアに出続けること)。

一見、商品の販売にまったく役に立ちそうもないことが、回り回って売り上げアップに貢献していたのですね。

この美容家だけでなく、健康食品会社の社長や自己啓発セミナーなどの主催者も、同じようなやり方で成功しています。

押しつけられると、引く。
引かれると、押す。
ビジネスでうまくいっている人は、視野をグンと広げて、押す・引くのバランスの見極めをしっかり行っているのではないでしょうか。

自分で「行き詰まっている」と感じるときには、「押す」から「引く」に方向転換して、自分の魅力を高める努力を行うといいのかもしれません。

今回の美容家は「私が証明です」の人ではありません、念のため。

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