暮らしと生業の記録を残す『クラナリ』

 新型コロナ感染症の影響もあり、商業出版のほうでは「取材・打ち合わせはオンラインか電話で」と指示されることがほとんど。
 それで、オンライン会議サービスを使ってきたわけですが、これがけっこう疲れるのです。

 やはり「場」の雰囲気というのが話を聞く際には重要で、モニター越しでは雰囲気をつかみ取ろうとする作業が増えるからです。そのため、Wi-Fiの状況で映像がちょっと止まるだけでストレス。


 ただ、新型コロナ感染症がひとまず落ち着いた今でも、オンラインが利用され続けています。
 一つには感染予防。もう一つは、旅費・交通費の削減ではないでしょうか。
 多くの企業が気付いたのです。「人の移動が減れば、経費も減る」と。

 従業員に毎日通勤してもらうより、自宅で仕事をしてもらう時間を増やしたほうが、交通費と社屋の光熱費を浮かせられるわけです。

 そうなれば、感染症とは関係なく、人の移動を減らす形で社会は変化していくでしょう。

集まらない。
足を運ばない。
顔を合わせない。

 今の社会の流れは、これまで『クラナリ』で特集してきた内容と真逆なのです。


 『クラナリ』では、市川市に住む人が東京で働いて遊んで寝に帰って来るだけでなく、市川ローカルとして生活を充実させて、暮らしていくのに困らない程度に地元で働けるのではないかと提案してきました。

 それが新型コロナ感染症がきっかけで、テーマが世の中とずれてしまったのです。

仕事場が東京でも、月1出勤ならば、市川に住む必要はない。
海や山、自然がたっぷりのところで、安く、のびのびと暮らそう。

 現在、市川市に住んでい人が、このように方針を変更しても、なんら不思議ではありません。
 ちょっとしたパラダイムシフト。

 そのため、ローカルメディアとしての『クラナリ』では、何を取り上げればいいのか、迷い続けています。

集まらない。
足を運ばない。
顔を合わせない。

 それでも、いや、それだからこそ「場」の雰囲気を味わいたいというニーズがあるとしたら、表現できるものは紙かもしれません。
 また、雰囲気を残していけるのも、紙かもしれません。
 『クラナリ』はWebマガジンに移行してきましたが。


 『クラナリ』については、「暮らしと生業をつくる」がテーマであり続けますが、今後は「暮らしと生業の記録を残す」形で進めていければと思っています。
 また、年末までに商業出版で2冊書籍を出すために、現在は作業の真っただ中なので、新規依頼を一部お断りしている状況です。

 そして新型コロナが落ち着くまで、『クラナリ』は“おこもりメディア”として、対面取材が前提にはならない、調べ物が中心のトピックスを探したいと思います。

 対面取材が心置きなくできる状況は戻ってくるはずなので、そのときにはぜひ、また『クラナリ』でいろいろとお話を聞かせてください。
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