「北越製紙」市川工場のレンガ造りの建物は大正期に建てられたのか問題

 正式には「北越コーポレーション株式会社(2018年に「北越紀州製紙株式会社」から社名変更)」なのですが、この記事ではあえて「北越製紙」と表記します。

 常々、「歴史を感じさせる工場だな」と江戸川サイクリングロードから眺めていました。写真ではわかりにくいのですが、レンガ造りの建物もあります。
 いつ建てられたのでしょうか。



 北越製紙株式会社は、1907年4月に新潟県長岡市で創業。
 1920年に、市川市(当時は千葉県東葛飾郡市川町)に市川工場を建設しています。

 紙の消費地である東京の近くに工場を作りたかったようですね。また、紙をすくのに大量の水を使うので、取水・排水のために、江戸川のそばという立地を選んだのでしょう。

 工場の改築については資料を見つけられなかったのですが、今年、すさまじい強風だった台風15号の後では工場の屋根にダメージを受けていた様子でした。
 台風15号では、江戸川サイクリングロード脇の標識も90度に折れ曲がり、土手の下にある桜の老木は根からなぎ倒されていました。
 風を遮るものがない江戸川の真横にある工場の中でも、古い建物は、当然、強風の影響を受けたのでしょう。

 市川工場ができた1920年の1年前に、江戸川放水路が完成しました(市川市真間5丁目近辺、台地を削り取って地形が変わっちゃった問題)。
江戸川改修100周年より
2股に分かれている左が江戸川放水路で右が旧江戸川


 今昔マップで確認すると、1917~1924年の地図では、江戸川の周辺は田んぼが広がっていたようです。


 それが1927~1939年の地図だと、北越製紙の工場だけでなく、市川競馬場(現在は大洲防災公園)もできて、千葉街道沿いは宅地化が進んでいます。

 今昔マップから、大正期に急激に市川の様子が変化したことがわかります。

 当時はパワーショベルやブルドーザー、ダンプトラックなどは用いられていなかったため、人力で北越製紙の工場も建築されたのでしょうね(土木工事 今昔)。

 
 ネットで調べると、北越製紙市川工場の工場見学の話題がいくつかアップされていて、数年前まで私も加入していた出版労連でも「出版技術講座」の受講生が足を運んだ模様。

 それならば、『クラナリ』でも「ローカルメディア講座」などと銘打ってメンバーを募り、工場見学を企画したいとつい思ってしまいました。単に、自分が工場の歴史を知りたいだけなのですが。
 

○参考資料
北越コーポレーション株式会社サイト http://www.hokuetsucorp.com/company/history.html
創業期と大正期における北越製紙に関する資料 https://core.ac.uk/download/pdf/70371504.pdf
北越 製紙(株)市川工場 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jtappij1955/50/3/50_3_592/_pdf
江戸川改修100周年 https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000643810.pdf
出版技術講座 http://www.syuppan.net/mura_HP/top/n_0206.html
Powered by Blogger.